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| Mastering_Engineer_&_Recording_Engineer_交流会 (2) |
| テーマ1:マスタリングしやすいマスターとはどのようなもので、逆にやりにくいものとは? | |
| 北川: | いきなり本題のような堅いテーマですけどもテーマに合わせて行きましょうか。 皆さんレコーディングとマスタリング両方経験されている方もいらっしゃるようですが、 レコーディングエンジニアとマスタリングエンジニアでは、捕え方が幾分違うと思います。 一人二役でやっているときに、結構ジレンマだったりすることもあるのですけど、 まず、マスタリングエンジニアとしてマスターテープからどういったCDマスターを作って いくかという皆さんの考えをお聞かせください。 原田さん、どのような形でマスターが持ち込まれますか? |
| 原田: | まず、よく入ってくるのは、ハーフ、DAT、あとCD-Rですね。それが主なものです。 |
| 北川: | ミックスダウンマスターといいますか、ミックスされた素材ですよね。 それを原田さんがマスタリングを一任されたときに完成品のCDマスターにする過程を お聞かせください。 |
| 原田: | 僕は、ミックスダウンした音をチェックして聴いて、自分なりにイメージを作って、 EQかけてみるとか、コンプかけてみるとか。事前にもらってチェックして立ち上げたときに クライアントの方とはお話ししながら方向性を決めていきます。 そういうパターンでやっています。 |
| 猪俣: | 立会いはほとんどなのですか? |
| 原田: | そうですね。全部といっていいくらいです。 |
| 北川: | その時、要求されることで一番多いことは何ですか? |
| 原田: | 僕が多いのは、特にJ-popなどで、「目立つように」とかありますね。 |
| 北川: | いきなり核心的な話ですが、レベルに関してはいかがですか? |
| 原田: | それは、ただ、「いっぱいで」ということですね。 |
| 北川: | レベルに関しては僕も自分でやっていて興味のある部分なのですが、 レベルを要求するが故に、犠牲になるものってかなりありますよね。 |
| 原田: | モニターが何種類かあって、何種類か聴いてもらって、その中で、どの位いっぱいか というのを聴いてもらって判断してもらいますね。 |
| 北川: | まぁ、よく言う音質重視なのか、レベル重視なのかというのは? |
| 原田: | それは両方ですね(笑) |
| 北川: | 皆さん両方ですよね。(笑)滝口さんはいかがですか? |
| 滝口: | まず、マスターテープがきて、立会いの上で作品の方向性など色々お話しします。 私のマスタリングする上での考えなのですが、最終的に音を作る側の最後の人という 意識があって、それとはうらはらに、最初に聴くリスナーでもあると考えています。 立会いでずっと、レコーディング・TDとに携わらせていただいているわけではないので、 その日初めて聴いて判断する。そういう意味ではまず、私の中ではリスナーとして 聴いて、この楽曲はどうしたらカッコ良くなるだろうかと考えます。 というのは、マスターを聴いて音創りをする必要がない、良い上がりであれば良いの ですが、アルバムなど十数曲あれば、録る日も違えばTDする日も違うし、それぞれの エンジニアが違う場合も多い。また、楽器、楽曲の編成が違えば音のバランスも違って きますし。そこに今度、CDを入れ込むときのレベルですとか、曲間なども作品創りの 要素に加わってくる。そういう要素を踏まえた上で、その作品をより良いものにする ために、必要に応じて音創りをします。 あと、CDのレベルについては突っ込みすぎると良いことはないですよね。 中にはジャンルにより、良いものもあるのですけども、必ずと言っていいほど、 どこかに無理が出て、レベルと歪みのせめぎ合いですね・・・(笑) しかし、僕たちとしては、オーダーに応じきれないと仕事が無くなってしまうので、 頼まれれば上げざるを得ない。「これ以上上げると歪みますよ? それでも良いですか?」と念を押しつつ上げています。 |
| 原田: | 共通して言えることは、マスタリングは客観的に聴いて、判断するということですかね。 |
| 北川: | 僕らがレコーディングで何時間も、何十時間も一つの作品を聴いているのと違って、 マスタリングエンジニアの方には初めて聴いてもらって客観的に判断してもらいたい という、それを我々はすごく期待している部分はありますよね。自分たちのなかでは 最初に聴くイメージというか、その作品を捕えにくくなっている。細かいところまで知り 過ぎているというところはありますね。 安藤さんはいかがですか? |
| 安藤: | そうですね。私の場合はたまたまかもしれませんが、立会いとお任せがあったりして、 どちらかというと、お任せの方が今、非常に多いです。 大体、クライアントさんが望むのは、「目立つように」「ハデに」「カッコ良く」という感じで、 結局はレベル。「レベル」プラス「派手目なEQ」です。それがクライアントによっては、 その音楽のジャンル問わず、とりあえずなんでもかんでも同じ要素が実はありまして、 今、自分の中でジレンマに陥っている状況です。最近、自分の中で飽きている傾向 なのですが、一番気にしているところは、商品になる前のマスターのチェックで歪みが 生じていないかというのを、一番メインで聴いているというのが現状ですね。 ある程度大きな音でやっていると気づかないものが、ボリューム絞ると逆に目だって きたりというのは良くありがちなので、聴くレベルを変えてチェックしている。 というのが、今、気をつけている部分ですね。 |
| 北川: | セイゲンさんはSACDで色々ずっとやっていて、その辺なにか・・・ |
| オノ: | 今回のテーマはすごく貴重なことだと思います。 こうやって見たときに(資料参照)まず、演奏家があって最後に視聴者ですね。 皆さんがおしゃったことの中で、レコーディングエンジニアに望むこと、レベルの 話とか、音色の話とか、立会いをする、しない。それをやらないと仕事にならないのは 確かにそうですよね。 僕は、XRCD2は、とってもスキなので、CDでもそこまで出来れば良いなと思うんですが。 このような話をするとき特に、ミキシングエンジニア、レコ ーディングエンジニアという 立場の、主観的領域「好きな音」、「良い音」これはみんな違うので言葉で交わして やりとりするのですが、好きなエンジニア、 好きなモニター、コントロールルームの モニター、マスタリング スタジオのモニター、視聴者のモニター。 これ全部聴く人の自由なので、同じものでやるというのは強制できない上に、 主観的な部分。(良い、悪いではな く)個人の好き嫌いなんですね。 一番主観的なのは演奏家の心や曲ですけど、それが最終的には「視聴者の印象」に 伝わる。これはイコールではないこともあ るのだけどとりあえず、音楽を記録して 最後に伝えると考えたときに、そこの間には信号処理などの物理的領域。 信号処理や、記録メディアなど、複製したり 配信したり増幅したりそういうところ 抜きには語れませんね。「主観的領域」というのは、DAコンバーターの好みとか チューニングとか、ケーブル、マイク の種類。それと「物理的領域」を混在すると比較に ならないので、分けて考えてみようかなと思って、この資料をつくってみたのですけども。 よく、「原音に忠実なレコーダー」とかってオーディオ製品の文句にありますが、 原音とは何か?というと、色々なところにあって、例えば楽器自体の振動も 原音かも しれないし、演奏家の心かもしれないし。 楽器の目の前、仮に正面の30cmとして、そこの楽器の音が原音かもしれないし。 マイクが色々な種類が あっても、マイクを置く位置があるとしたら、そのマイクに入る 前の空気の振動が原音かもしれない。ヘッドアンプなのかもしれない。 ある程度ミキシングを やったものだとすると、コンソールの出力または、テープ レコーダーの入力部分に当たる信号というのは、物理的に固定するべき領域です。 そこから前も先も、どっちの 方向に転ぼうと自由で、主観的に、つまり好きにやって くださいということですね。 モニターって、スタジオが違うと全部変わってしまうので、そのカーブの入ったものを 聴いてその席に座って、ミキシングエンジニアとかレコーディングエン ジニアは 作業するので、そこで低音がすくなかったりしたら、低音を足さないと音楽にならない ですからね。それが変わってしまうと、スピーカーが変わった りとか、環境が変わっちゃ うので、一概に物理的領域とは言えないと思うんです。 そこから今度、メディアがDSDだったり、ハーフインチだったり、CD- Rだったり、 ProToolsだったりとかによっても、変わってしまう。これは物理的領域ですね。 で、今度マスタリングルームに入って使用するレコーダ ーを何で再生するかとか、 どのDAコンバーターを使うのかなど、色々なプロセス。この資料の質問項目の、 テクニックや、こだわり、ポリシーというところ に行くと思います。 これは、今日のテーマの中のほとんど主観的なことが入ってくるのですが、実は 物理的なところというのはメーカーやメディア、再生機 器、オーディオ機器、全部 含めて物理的領域は変化しない方が良いと思うのですよね。 これからテレビもデジタル放送になっていき、あらゆる物がデジタル化 というか、 最終的にはデジタルから空気の振動に変えなくてはいけなくて、そのときにアナログが 入っちゃうと歪みがでていろいろな形で出てきて、周波数特 性を変化させる。 と位相特性がどんどん悪くなってきてしまうという弊害がでてきてしまう。 1bitアンプにかなり注目していて、音量はでないのですが、1bitの伝送とかメディア記録 にすごく良い印象を持っています。だんだん時間軸がずれて きたものが、どんどん リアルではなくなっていく。リアルなのが良いかというと、それは主観的な話で、また 違ってしまうのですが。あらゆる過程で変化しな いことが物理的領域のものの 重要なとこです。 XRCD2はCDという規格の中でそれを追求した最高の音ですが、作りたいけど誰でも 作れるわけではない、というジレンマに陥ったりして・・・だったら再生機は 特別でも スーパーオーディオCDの方がいい。そんなに売れていないものを作っても仕方ない じゃないか。という話もあるんだけど、それはテーマが違う問題 です。 もしかすると配信する音楽だとか、それをうまくマルチビットから物理的領域が変化 しない方法、例えば、マルチビット_to_1ビットコンバーター を使って、1bitアンプで小さな スピーカーで(2way、3Wayとかではなく、)テレビのフルレンジでもすごいスピードで 対応するようになるとかな りリアルな音が見えてくるという印象です。 その辺からレコーディングエンジニアという立場とマスタリングエンジニアという立場で 洗いなおしてみる必要が あるんじゃないかなという気がして。 良い音はみんな違うのだけども、データから先をどう変えるかというのは主観的なもの として、なるべく現場(コンソー ルOUTをモニターした気持ち)に近く、元に近い方の変化 しないものを求めた場合に、色々オーディオシステムも変わっていかなくてはいけないと いうこと もあります。それはプロの方だけでなく、一般の人もレベルを詰め込まれ 過ぎたCDしか聞いてない、生音と比べて聴いたことがない人がすごく多いのが問題です。 例えば、また、録音現場でよくいう「シ」音。過剰な「シ」音というのは、現実空間には 存在しませんね。 情報がメ ディアになったりしたときには、そういうものは付加されたりしないほうが良い。 だからミキシング現場であっても、マスタリング現場であっても、そこで固 定された音を 原音としてゆくと、例えばコントロールルームのコンソールの出力というのは、そういう 意味ではメディア化される前の一つの基準になると思う のです。 チョット抽象的な話になってしまいましたが、何を望むか。というよりもそういう各自異なる 立場の主観を意外とお客さんも混在して言われるのでそ の通訳がすごく大変というか・・・ |
| 北川: | マスタリングエンジニアの方というのは、本当にそういう意味では最後の砦という ところがありますね。それとオーディオ的な部分でこれからもっと・・・SACDもそうですけど、Hi-ビット_Hi-サンプリングになっていきそうで、そうなった場合は技術的なところを 踏まえて音楽のとらえ方なども変わっていくのだろうなという気はしていますけども。 一つは物理的というか電気的な追求と、それと相反する部分はあるかもしれないです が、音楽として望まれるものというか、一番伝えたい音を作っていくということも、 平行してありますよね。 |
| オノ: | そういうので、一つだけ要望とすると、なるべくハイレゾリューションでマスターを 録った方が絶対に良いと思います。 ハーフインチよりもDSDの方が非常 に良いと思いますね。でも、ハーフインチも OUTをそのままDSDに録れば転写のないのが録れるので、ハーフインチというのも、 主観的領域の中で変化を つけるメディアというか道具に入ってきます。 昔、吉田さんのリズム録りを聴かせていただいたことがあったので(CDになる前の ものを)、覚えていたとい うのもあるのでしょうが、それがCDになった時に「(スタジオで 聴いた音と)違うなぁ」と思いました。最終の商品として固定された形なのでCDが表現と して正しいのでしょうけども、前のレゾリューションを聴いていると、あの感じが・・・。 そうすると、どこまで戻るかというとみんな変わってきちゃう。 |
| 北川: | すごく専門的な話になってきましたけども、では渡辺さんはいかがですか? |
| 渡辺: | 私のところは、本当にDATマスターで来ることが多くて、最近ちょこちょこあるのが、 エンジニアさんがもう、ProToolsで全部やっていて、曲間も全部決めていて、1630に 移したいというだけの仕事とかも、結構あります。 メーカーさんともお仕事しているのですが、ほとんど半分くらいの比率でインディーズ さんとのお仕事が多くなってきているので、本当に時間は厳しいですね。 例えば「5時間分の料金しかないので、5時間以内で作業してください。」ということも 多いので、そうなってしまうと、本当に自分で納得できるものがきちんと出来ているのか どうかというのが・・・ お客さんにとりあえず納得してもらって終わってしまう。そういうことがあります。 |
| 北川: | DATマスターの場合は48kで? |
| 渡辺: | 48kが多いですね。 |
| 北川: | その場合、当然アナログで出して、調整されて、またADしてというやつですか? |
| 渡辺: | そうですね。 で、後、CD-R納品で工場に搬送する形が本当に多くなってきています。 海外プレスだと、ほとんど100%に近いかたちでして、そうなってきてしまうと、かなり 怖い部分がありまして、輸送途中で外れてカタカタならしてキズついてプレスが出来なく なってしまうのではないかという状況が考えられたりします。 特に海外へマスターを持っていかれてしまうと、何をしているのか解らないので。 |
| 北川: | 今、言われた海外というのは具体的には? |
| 渡辺: | 韓国、台湾ですね。 |
| 北川: | 輸送途中でのトラブルというのは、実例では? |
| 渡辺: | とりあえず、今のところはないのですが、ただ、扱っているお客さんがCD-Rだと簡単に 聴けるじゃないですか。マスターテープという感覚が薄れるので、何も言わないで渡して しまうと、下手すると帰りのカーステで聴いてしまうようなかたちになってしまうので、 私は必ず渡すときには「このまま空けずにお持ちください。」と言いますね。(笑) |
| 北川: | そういうときのマスターって1枚しか渡さないのですか? |
| 渡辺: | 工場の方で2枚という要求がある場合は2枚お渡ししていますが、最近、CD-Rの チェッカーというのがきちんと出てきたので、それでデータをとって添えて渡します。 通常は1枚です。 |
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