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News Letter


「映画におけるサラウンド制作の実際」レポート

日時 2006年12月16日(土) 13:00〜17:30
場所 東宝スタジオ
講師 多良 政司 氏 (株)東宝スタジオサービス
井上 秀司 氏 (株)東京テレビセンター
瀬川 徹夫 氏 映画録音技師


はじめに・・・
成城の東宝スタジオで開催された、JAPRS技術セミナー「映画におけるサラウンド制作の実際」に
参加しましたので、簡単に内容を報告します。
私自身がテレビ放送やDVD制作でサラウンド音声の業務が大半なこともあり、非常に興味が
ありました。
当日の参加者も70名を超え、関心の高さがうかがえました。

システム全体の流れ/映画制作について
東宝スタジオサービス 多良政司氏の講演で、システム全体の流れと歴史についての話がありました。

音と映像の制作の流れやフィルム作業とVTRの違い、音と映像はある時点までは個別に処理されること、
編集手法などが話されました。
また、色々のメディアの再生環境による音の違い等も興味深い話でした。

実際に映画の音造りに入ると、台詞(ダイアログ)、効果音(サウンドエフェクト)、音楽(ミュージック)等の
サウンドパーツとその役割、そしてダビング作業などの説明もなされました。音造りのモニタールームは
驚いたことに映画館と同じくらいの広さと高さのある部屋が使われていました。
ダビングという言葉は、映画の最終フォーマットに処理する作業にも使われるということも知りました。
フォーマットには、ドルビーステレオ、ドルビーデジタル、dts、SDDS等があるようです。(ここでいうドルビー
ステレオとは、ステレオではなくアナログの3-1chサラウンドのことで、多分2chにエンコードされて記録して
あることからこのような表現になっているものと思われます。ドルビーデジタルというのは、5.1chがドルビー
エンコードされたものです。)
ダビングされた信号はフィルムに光学リレコされます。通常、フィルムにはドルビーステレオとドルビーデジタル
(前述のもの)が両方焼き込まれるようです。そして、どちらを使用するかは上演される映画館の設備によって
決まるようです。(制作者側の意思は反映されない。)
ご存知のように、アナログ3-1chサラウンドの場合は制作者の意図と反した場所に定位する場合があるので、
デジタル5.1chとの互換性には最善の注意が必要とされるということでした。

その他、磁気録音を含め映画録音の歴史や映画館のスピーカー配置、制作上のテクニックなど貴重な
お話でした。その中で印象に残ったものは、映画館のフロントL、Rのスピーカーはかなり離れ対置にあること
(画面の大きさによっては左右からはみ出る場合もある)それ故にということもあり、センタースピーカーの
重要度が大変大きいということでした。



多良政司氏

アニメーション関連
東京テレビセンターの井上秀司氏のお話で、ご自身が担当なさった映画「イノセンス」のDVDを題材として、
音処理、音楽処理について解説していただきました。

6.1chのサラウンドであることや、ハリウッド(多分)のSkywalker Soundの音響効果のスタッフとの共同作業で
あったこと、厳しいスケジュールの中での制作であったことなどを、素晴らしい音を聴かせてもらいながらの
お話でした。
(余談ですが、私は大変感動したので、この後、DVDを買ってしまいました)


井上秀司氏

映画の実写関連
瀬川徹夫氏が映画のための音楽録音という内容でお話をされました。

多良氏と同様に Digital 5.1ch と Analog 3-1ch とのコンバチビリティーの重要なことや、センターチャンネルの
重要性についてのお話から始まりました。
Analog 3-1ch の技術的な説明があり、レフト、センター、ライト、リアの4chのソースが Lt / Rt という2chの
信号にエンコードされてFilmに記録し、再生時にデコードして4chに戻す方式であるためレベル管理などにも
十分な注意が必要であること、また台詞や効果音との相互関係の中でマトリックスを通すことにより思わぬ
定位移動を引き起こすことがある等の話を伺った。
これを回避するためには、録音したライブラリーをダビングステージのマトリックスを通して聞いてみることが
必要であり、またその同じ音楽ソースを音楽スタジオで比較試聴することも大事な方法であるということでした。



瀬川徹夫氏

最後に・・・
今回の講演会で、私が大変貴重な話でこれから自分の作品造りに注意しなければならないと思ったことは、
以下のポイントです。

センタースピーカーの重要さは、家庭で試聴するメディア(DVDやテレビ放送のサラウンド作品)とは全く別の
ものとして考えなければならない。

ドルビーマトリックスを通したときの予期せぬ定位の移動に対処するためには、完成した5.1chマスターだけでは
なく、唄、リズム、キーボード、管絃等に分けたそれぞれサラウンドのステムミックスを同時に造って納品すること。

以上、とりとめの無い文章になりましたが、今回の講演会で感じたことです。
                                                            永井秀文 記



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